免疫の仕組み

免疫システムは体内で病原菌や異常な細胞を認識し、それらを殺滅することによって私たちの体を病気から守ってくれる強力な防衛機構です。たとえば、アメリカのアリゾナ大学がオフィス内にどれくらい細菌がいるか調査したところ、電話の受話器で1平方インチ当たり25.127個、机が20.961個、パソコンのキーボードで3.295個の細菌を検出したといいます。
このように私たちの日常生活のなかでは、常に多量の細菌がうごめいていますが、それでも病気にならないのは、体に備わった免疫システムのお蔭なのです。

●「免疫システム」は2段構えで闘う

免疫システムは、基本的に2つの仕組みから成り立っています。1つは「自然免疫」。常に体内を監視し、侵入者に対していち早く攻撃態勢を整えます。異物が侵入した初期段階の防衛線です。2つ目の「獲得免疫」は、高度な生命体のみに備わったシステムです。強い破壊力を持ち、がんなどの強力な敵に対抗します。特定の病気に対して抗体を持つのもこのシステムのお蔭です。
免疫は体内に侵入した異物に対し、まず「自然免疫」が攻撃を仕掛け、それでも撃退できない場合は「獲得免疫」が出動するという“2段構え”を講じています。両者は密接な連携プレーであらゆる状況に対応します。

●攻撃の先陣を切る免疫細胞

体内に侵入した外敵に対し、最初に攻撃を仕掛ける“自然免疫”のメンバーは「単球」「顆粒球」「NK細胞」です。これらの免疫細胞が常に体内をパトロールしてくれているお蔭で、私たちは病気にならずに済んでいるわけです。

単球――パトロールチーム

  • 樹状細胞……異物の情報をリンパ球に伝える攻撃の総司令官。免疫がどれだけ有効に機能するかは、樹状細胞がどれだけ明確に敵を認識するかにかかっているといっても過言ではない

樹状細胞

  • マクロファージ……死んだ細胞や異物を自分の中に取り込んで処理する。顆粒球を呼び寄せて攻撃を促す

マクロファージ

顆粒球――攻撃チーム

  • 「好中球」「好酸球」「好塩基球」から成り、比較的大きな病原菌を飲み込んで殺滅する

NK細胞――攻撃チーム

  • リンパ球のひとつ。攻撃性はさほど強くないが単独行動できるのが利点。敵に素早く反応する
  • NK 細胞

●強力な攻撃を仕掛ける免疫細胞

がんなどの強力な敵に対抗する「獲得免疫」のメンバーは“T細胞”“B細胞”といった「リンパ球」です。

リンパ球――攻撃チーム

◆B細胞
  • 主に細菌やウイルスなど、小型の外敵に対抗する。“抗体”というミサイルのような武器で戦う
  • B 細胞

◆T細胞
  • がんなどを攻撃する免疫の主力部隊。強力な殺傷能力を有する「キラーT細胞」、それを活性化させる「ヘルパーT細胞」、攻撃をストップさせる「サプレッサーT細胞」など、さまざまな種類が確認されている。T細胞は各々連携をとりながら、多彩な攻撃を展開する
  • T 細胞

●免疫を潜り抜ける“がん細胞”

免疫システムは、がん細胞などを異物だと認識することで起動します。その“認識”という重要な役目を担っているのが「樹状細胞」です。樹状細胞は免疫の総司令官といわれるほど優秀な細胞ですが、がんはさらに“したたか”。ゲリラ戦の猛者のように免疫を攪乱し、監視の目を潜り抜けてしまうのです。

がんがたくらむ4つの“免疫攪乱”作戦

①免疫細胞は抗原(免疫細胞が攻撃の目印にする物質)がはっきり提示されていれば、その分容易に攻撃態勢へ入れる。しかし、がん細胞は巧みに“がん抗原”を隠しながら増殖する。

②がん細胞は免疫の主力部隊である「T細胞」が攻撃モードに入らないようにする物質を分泌している。

③免疫細胞のひとつ「マクロファージ」が担うT細胞を活性化する作用を押さえ、逆にT細胞の活動を抑制する物質を分泌させる

④「免疫寛容」という、免疫細胞との“なれ合い状態”を作る。がん細胞と免疫細胞はバランスを保って共存してしまうので、免疫は力を発揮できない

こうしたがんの攪乱を突破するためには、樹状細胞に一層鮮明に標的であるがんの姿を教え込む必要があります。その免疫システムにがん情報を明確に伝える“力”こそ、免疫療法そのものだといっても過言ではありません。つまり、世の中に数多くある免疫療法の差とは、樹状細胞のがんに対する認識・識別能力の差だといっても良いでしょう。

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