LAK療法

免疫療法の原点

概要

「活性化自己リンパ球療法」と呼ばれています。1980年代後半に、アメリカの国立予防衛生研究所(NIH)に所属するローゼンバーグ博士が創始した免疫細胞療法の原点ともいえる治療法です。華々しく登場した治療法でしたが、初期のものは副作用が大きく、効果も思ったほどではありませんでした。方法は、患者さんより採取した血液からリンパ球を分離し、高濃度のインターロイキン2という免疫活性化物質を加えて培養――。増殖活性化させて患者さんの体内に戻すというものです。効果は今ひとつでしたが、免疫細胞療法の基礎を築いた療法です。

特徴

1970年代から80年代にかけて、がんの免疫療法が脚光を浴びました。しかし、免疫のシステム自体がまだ明らかにされていなかったこともあり、期待ほどの効果は出ませんでした。そうした状況のなかで登場したのがLAK療法でした。しかし、体内から大量のリンパ球を摂取するので、患者さんには肉体的に大きな負担がかかり、インターロイキン2を静脈注射するため、発熱、悪寒、震えといった副作用が頻出しました。後年、副作用は改善されることになりますが、がんに対する効果ははかばかしくありませんでした。
なぜ効果が出なかったのでしょう。LAK療法は、リンパ球を増殖、活性化させることで、がんの退縮を目指すものです。しかし、体内から取り出したリンパ球には、T細胞もB細胞もNK細胞も含まれています。これらを一緒にして増強しようとしたところに無理がありました。どれも中途半端にしか活性化できなかったのです。さらに、T細胞の多くが、攻撃するがん細胞の目印を知る必要があるというメカニズムが、まだ当時はわかっていませんでした。
そんなこともあって、リンパ球の数を増やして元気にすればがんを強力に攻撃するだろうという目論見が外れてしまったのです。その反省を踏まえて、NK細胞だけ、T細胞だけを活性化するという形で、免疫細胞療法は発展していきます。

評価

この療法単独で効果を出すのは難しいというのが正当な評価です。しかし、三大療法との併用によって、免疫力の低下を抑えたり、再発を予防するのには有効な方法かもしれません。
がんの退縮という意味では期待外れだったLAK療法ですが、その研究が後の免疫細胞療法の発展につながったのは、間違いのないところです。

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