がんを診断する検査

体の不調を覚え、病院を受診した場合、通常は診断を確かなものにするために“検査”を受けることになります。現在行われているがん検査は複数ありますが、それらを組み合わせたり、部位によって使い分けたりすることで、より多面的で精度の高い診断が可能になるのです。ここでは代表的な検査方法をご紹介しましょう。

●生化学検査――幅広い病気の発見に役立つ

血液・尿・便を採取し、そのなかに含まれる化学物質の量を測定することで、健康状態や病気の程度を調べる検査です。がん検査だけではなく、幅広い疾患の発見に役立っています。
がんの発見に役立つ生化学検査には、「腫瘍マーカー検査」「内分泌検査」などがあります。

◎腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、体のなかのがん細胞が増殖したときにつくられる物質で、体内にがん細胞があると腫瘍マーカーの数値も増加します。体のどの部分にがん細胞があるかで増加する腫瘍マーカーも異なりますので、症状に応じた腫瘍マーカーの検査を行う必要があります。

腫瘍マーカーの基準値
名称 特徴 基準値
AFP 肝がん、卵巣や精巣の胚細胞がんで高値。
胃がんでも上昇することがある
10.0ng/ml以下
CA15-3 主に乳がんの治療効果の判定や経過観察
に用いられる
25.0U/ml以下
CA19-9 膵臓がん、胆道、胃、大腸のがんなど、
消化器のがんで高値
37.0U/ml以下
CA125 卵巣がんで高値になりやすい。
子宮体がんや、膵臓、胃、大腸などのがん
でも高値になる場合がある
35.0U/ml以下
CEA 大腸がんなどの
消化器のがんをはじめ、肺、卵巣、乳がん
などで高値
5.0ng/ml以下
CYFRA 扁平上皮がんで高値。
肺の扁平上皮がんや頭頚部腫瘍の経過
観察に用いられる
3.5ng/ml以下
NSE 肺の小細胞がん
などで高値
10.0ng/ml以下
PIVKA-Ⅱ 肝臓がんの発見や経過観察。
AFPと併用される
40.0mAU/ml以下
ProGRP 肺の小細胞がんで高値になりやすい。
治療効果の判定や経過観察などに
用いられる
46.0pg/ml未満
PSA 前立腺がんの発見や経過観察に
用いられる
4.0ng/ml未満
SCC 肺や食道、子宮頚部の扁平上皮がんで高値 1.5mg/ml以下
SLX 肺がんなどで高値 38.0U/ml以下
I-CTP 主にがんの骨転移を調べるために
用いられる
4.5ng/ml未満

◎内分泌検査

甲状腺やすい臓などの内分泌臓器は、ホルモンを必要とするときに必要なだけ分泌しますが、腫瘍などがあると内分泌腺の機能亢進(ル・こうしん)(機能が通常より高まった状態)が起こります。また、腺の萎縮などがみられると、機能低下が起こります。このようにホルモンの分泌量を調べることによって、下垂体や甲状腺、副腎の病変を把握する検査です。

●画像診断――病変を目で見て診断する

コンピュータ処理を行った画像などを使って検査する方法です。画像診断には、「PET検査」「CT検査」「MRI検査」「エコー検査」などがあります。

◎CT検査(コンピュータ断層診断)

CT (Computed Tomography)検査は、X線照射によって臓器の形態的な異常を発見する検査です。X線を360度全方向から照射することで、人体を輪切りにした画像を撮影。これを何層も重ねることで、体内の様子を立体的に把握することが可能です。広い範囲の検査や、MRIでは描出が難しい肺や骨の検査には威力を発揮します。わずかですが放射線被ばくがあるので、妊婦や妊娠の可能性がある人は受けられません。

◎MRI検査(磁気共鳴画像診断)

MRI (Magnetic Resonance Imaging)検査は、強力な磁場と電波を利用して体内の状態を撮影する検査法です。病変部と正常組織のコントラストが良好に写り、姿勢を変えることなく、からだのさまざまな部分の断面画像を縦、横、斜めなど、あらゆる角度から撮影することができます。被爆の心配もありませんので、繰り返し検査する場合や子供、妊婦の検査に適しています。しかし、胃や腸などの動く部位の検査にはあまり適していません。また、強い磁気が体に当たるため、心臓ペースメーカーなどの金属の器具が体内にある人は検査できないことがあります。

◎PET検査

PET(Positron Emission Tomography)とは、「陽電子放出断層撮影法」という意味。体内の細胞の働きを断層画像として捉えます。CTやMRI検査が病変の形態(形)から異常を見つけるのに対し、PET検査ではブドウ糖代謝などの機能から異常を発見します。病変の形態だけで判断つかないとき、機能の状況を観察することで診断の精度を上げることができます。病期診断などのほか、再発・転移診断等にも有効な検査です。PET検査は全国の専門施設で受診することができます。

◎エコー(超音波)検査

弱い超音波(人間には聞き取れない高い周波数の音)を体に当てて、臓器や組織にぶつかってできる反射波を画像化することによって診断します。放射線などは使っていませんので人体に無害で、検査による痛みなどもほとんどありません。がん検診においては、乳房・甲状腺・腹部・骨盤部などで広く使われています。しかし、超音波の特性上、脳・肺・胃・腸などの検査にはあまり適していません。

◎内視鏡検査

先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察します。条件が合えば治療を行うことも可能です

◎マンモグラフィー

マンモグラフィー(乳房X線検査)とは、乳房にしこりや皮膚のひきつれが見つかった場合、がんかどうか調べるために行なう検査です。腫瘍の有無や大きさ、形、石灰化の有無がわかります。乳がんの約半数は石灰化しますが、触診では発見できない5mmくらいの小さいものでも発見できます。

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