「予防型ワクチン」――ハスミワクチンの実績

がんワクチンの先駆けとして、「ハスミワクチン」が初めて臨床に用いられたのは1948年。以来、国内外合わせて15万人以上の患者さんが、がんの予防・症状改善のためにハスミワクチンを受診しています。「予防型ワクチン」――ハスミワクチンの実績をご紹介します。

●「馬伝染性貧血」の解明

1942年(昭和17年)、故蓮見喜一郎博士(現・国立千葉大学医学部卒)は、セラミックスを用いたカラムクロマトグラフィーによるウイルス分離法に成功しました。これはセラミックスをマイナスに帯電させる方法で、当時としては画期的な成果でした。さらに、1947年(昭和22年)には、子宮頚がん患者の膣洗浄液などから分離したウイルス様粒子を電子顕微鏡で撮影することに成功。このことが、後のハスミワクチン開発の基本的な発想へとつながっていくのです。
蓮見博士の業績で大きな話題になったのは、馬伝染性貧血(伝貧病)の病原ウイルスの電子顕微鏡写真撮影に成功したことでした(1953年)。『獣医学会で謎とされていた伝貧病のウイルスを、民間のがん研究家が発見、純粋分離に成功し、予防ワクチンも完成した』と、同年12月31日の読売新聞で報道されています。
それまで、馬伝染性貧血は予防法も治療法もなく、年間1万頭近くの馬が殺処分されていたといいます。伝貧病が広がると、馬産地は大変な被害をこうむることになります。北海道にとって馬の生産と育成は重要な産業であり、伝貧病は頭の痛い問題でした。
そんな事情もあり、蓮見博士によってワクチンによる予防、治療の可能性が示されたことは、田中敏文北海道知事(当時)を大いに喜ばせました。蓮見博士は田中知事の要請を受け、道立銭函伝貧実験場で伝貧病の治療を始め、1958年(昭和33年)まで道内各地を回って、伝貧ウイルスワクチンによる集団予防の実験に携わったのです。

●独自の「アジュバント」を開発

ハスミワクチンのエポックメーキングは、独自の「アジュバント」の開発でした。
アジュバントとは、薬物の効果を高めるために加えられる薬剤や成分のことであり、ワクチンでも抗原の認知作用を高めるために用いられています。一般的には補助剤という位置づけですが、がんワクチンに関しては、アジュバントの質が免疫賦活効果に直接的な影響を与えることがわかっています。つまり、アジュバントの種類によって、がんワクチンの効果が決まるほど重要な働きを担っているのです。

ハスミワクチンに使われてきたアジュバントは、もともとは牛の脾臓に由来するものから出発しており、構成成分自体には異物性がありません。また、2015年の春に切り替えられた“合成型アジュバント”は、米国のメリーランド州立大学で行われた研究において、従来型以上の有効性を発揮しています。
蓮見博士が東京・調布にがん研究所施設を建設したのは1946年(昭和21年)。ハスミワクチンの臨床拠点として、東京・阿佐ヶ谷に珠光会診療所を開設したのは1958年(昭和33年)のことです。

●広がる“安心の度合い”

ハスミワクチンを支えてきたのは、効果を裏付けるための研究活動に他なりません。基礎的な研究がたゆみなく行われてきたからこそ、開発から60年以上経った現在でも、「予防型ワクチン」として発展し続けているのです。
さらに、樹状細胞を使った「治療型ワクチン」――HITV療法の登場により、ハスミワクチンは一層“再発予防“に役割を特化することが可能となりました。標準治療によってがんが治癒した人は、再発に注意を払わねばなりませんが、ハスミワクチンを用いることで高い確率で再発が防げることが、データによって明らかにされています。
再発が防げればがんを過剰に恐れる必要はありませんし、再発してしまったらHITV療法があります。「予防型ワクチン(ハスミワクチン)」と「治療型ワクチン(HITV療法)」の使い分けで、治療の選択肢のみならず、安心の度合いも格段に広がるわけです。「治療型ワクチン(HITV療法)」は、2008年東京・紀尾井町に開設された「ICVS東京クリニック」で、「予防型ワクチン(ハスミワクチン)」は「BSL-48 珠光会 Clinic」及び「BSL-48 インターナショナルクリニック」で受診できます。

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